待ってるきみへ
あーん・・・
おくちをひろげてまってるきみへ
ぽんっ
ぼくがつくったゆきだんご、きみはおいしそうにたべてくれて
でも、もったいないから、のみこまずにあじわってたね
だいじょうぶ、おかわりたくさんあるからね
なにも聞こえない、なにも色付かない
これも、あれも、あれも、あれも
すべて凍りついたみたい
ぼくの黒、きみの黒
重なりあって、ひいらぎ色
またつくってあげようね
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今年も冬に雪が来た
ぼくが作った雪団子
あのこにたくさん持っていこう
坂道ころぶな踏みしめて
待ってるきみへ、あの場所へ
そしてきみはいなかった
渦巻く風
足の裏からつむじまで
痛みがずんずん降り積もる
風はぼくをむしばんで
握りつぶして締め上げる
なにも聞こえない、だれも気づかない
撃たれたみたいに、ぼくは倒れて
そして、冬に食べられたんだ